ゲルソン・インスティテュート、代表の素顔

見事なセンス、深い精神性、そして、多様な経歴を持つ、インディアナ州出身のカントリー・ガールがNPO組織のトップになり15年が過ぎました。

ゲルソン・インスティテュートのリーダー、アニータ・ウィルソンの、エグゼクティブ・ディレクター就任15年周年をお祝いすることは、私たちスタッフにとっても光栄であり、名誉なことです。

 

アニータの人生は世界に二つと無い緻密なタペストリーのようで、そのストーリーをゲルソン・インスティテュートで語るのはいつでも楽しいことです。彼女のように豊富な経験を持つ人を私はほかに知りません。もし、質問されれば、今日の彼女に至ることになった分岐点が、人生のわりと早い時期に訪れたことを彼女は聞かせてくれるでしょう。

ダイアモンドの原石

「エクゼクティブ・ディレクターとして勤続15年」という典型的なイメージには合わない多様なバックグラウンドを持つ彼女の素顔は、虫や鳥たちとたわむれながら泥まみれになって遊ぶ、インディアナ出身のカントリーガール。まさに、かぐわしい野生の花々や、すがすがしい空気のような存在が、彼女の人となりそのものです。

 

インディアナにあった家族経営の農場を裸足で走り回り、牛のフンをベチャベチャと踏むのが大好きだった少女時代。家に帰ると母親がホースを片手に待ち構えており、全身丸ごと洗ってもらうのが常だったとか。彼女がたわむれていたのは地球の代謝の一端を担う土壌だということを、当時は想像もつかなかったはずですが、将来「医薬としての食」そして「土壌の回復」が彼女の仕事になっていきました。無農薬農場と農業教育を行うサンディエゴのNPO組織「ワイルド・ウィロー・ファーム」代表のメル・ライオンは、彼女を“ソウルメイト(魂の友)”ではなく“ソイル・メイト(泥の友)”と愛情を込めて呼んでいます。

 

高卒後すぐに、無償で人を助けることが自分のやりたいことと悟ります。

グアテマラ、アフリカ、ハワイ、さまざまな場所でボランティアの仕事に従事しました。ハンセン病患者の共同生活所、行動と精神に障害を持つ子供たちのための共同作業所、メンタルヘルス問題に取り組むコミュニティーでの仕事。子供のための居住型療養プログラムの運営をしているときには、健康問題を持つ子供たちの里親にもなりました。アンティークの品を扱う仕事もしました。アリゾナ州のナバホインディアン保護地区では、高校も創立しました。その後、当時のセドナにあった「ゲルソン・ウェルネス・センター」のディレクターに就任しました。

巨大なダイアが輝きを放つ

2003年5月、重大な転機を迎えていたゲルソン・インスティテュートのエグゼクティブ・ディレクターに就任します。資金難と低賃金スタッフしか残されていなかった状況にアニータは飛び込み、ゲルソン・インスティテュートにあるべき安定と成長を取り戻すことに着手しました。「彼女のたぐいまれな優しさとセンスあるユーモアが必要な人材を引き寄せ、たくさんのやる気あふれる有能な人たちをスタッフに迎えることができました。彼女のいないゲルソン・インスティテュートは考えられません」と、シャルロッテ・ゲルソンは語っています。

 

もし、ゲルソン・インスティテュートの本部を訪れる機会があったら、アニータは自身について最小限のことしか語らないでしょう。そして、あなたのことを昔からの友人のようにもてなすはずです。そして、あなたのことをできるだけたくさん知りたがるのです。そのなかでは、彼女の個人的な経験について話が及ぶかもしれません。なぜ来たのかなど理由は関係なく、ドアを開ければもうあなたは彼女にとって他人ではありません。これが、アニータがゲルソン・インスティテュートにもたらし、患者さんたちとの関係づくりのなかで育んできた、あたたかさと透明性です。

 

彼女の在職期間中にゲルソン・インスティテュートは大きく成長し、それは現在も続いています。すでに多くの認定ゲルソン・プラクティショナーを輩出しており、来年はもっと増える見込みです。教育プログラムを通して、世界中の人々にゲルソン流ライフスタイルの良さを普及してもいます。包括的で時代にあった教育ツールの開発も行っています。また、ゲルソン療法を行うクリニック施設に直接行けない人たちのために、居住地域に関係なくゲルソン専門医の遠隔コンサルテーションが受けられる選択肢もできました。

地球の宝

2013年、ゲルソン・インスティテュートでアニータの勤続10年を祝った時、ベータ・ビショップはアニータのユニークな人柄をつぎのように述べました(ゲルソン・ヘルス・センター共同設立者、悪性黒色腫からゲルソン療法で回復し30年以上が経過している元患者、元BBCジャーナリスト、心理セラピスト、作家)。

 

「彼女がすごいのは、まったく異なる2つの特徴を矛盾することなく合わせ持っていることです。クールで動じなく現実的、そして、めちゃくちゃあったかくて思いやりがある。前者の特徴が、10年前にはカオスと混乱しかなかったゲルソン・インスティテュートを短期間で回復させました。後者の特徴は、心からの思いやりとオープンマインド(そして少しのユーモア)で人々の言葉に耳を傾ける彼女の日々そのものです。」

 

アニータにいちばん驚かされるのは、必要な時にいつでも即興でその場にぴったりの歌を見つけることです。どんな人でもその人のいちばん良いところを見つけ、まるでその人のために作られたような曲をさっと見つけ出します。それから、宇宙のような広い視野を持っていることにも驚かされます。

永遠の輝き

2018年5月23日、私たちは親しい友人たちと、『The Food Cure』監督のサラ・マブローク(ゲルソン療法のドキュメンタリー映画、現在日本語字幕版を製作中)を招き、アニータの勤続15周年を祝うサプライズランチの時間を持ちました。たくさんの笑いと思い出話しのなかで、アニータの15年間の仕事を記念した額をプレゼントしました。それは、アニータがいつも魂のレンズを通して見える世界を表したことばを額にしたものです。

 

「私たちは手に入れたもので生活を送り、与えることで人生を作る」

 

この15年間アニータはずっと私たちと共にいました。彼女は頼れる岩のような存在で、私たちにリズムを与え、その鼓動は永遠のものです。私たちの知らない世界と私たちを結びつなげてくれる存在です。無私無欲の精神が彼女のすべてです。真実の探求を続け、彼女を必要としている周りの人たちを助け続けています。彼女のサポート、リーダーシップ、愛には、まるで限界は無いかのように見えます。

コピーライト:ゲルソン・インスティテュート

著者:エリック・フリーマン

投稿&編集:ニコール・フェラー

日本語訳:ゲルソン・アンバサダー、氏家京子

 

原文掲載URL:https://gerson.org/gerpress/happy-anniversary/